column
働く女性必見!!歯周病と女性の病気
2014年02月13日
理事長の著作、「デキるビジネスマンはなぜ歯がきれいか?(ディスカバー社)」、第三章より抜粋です。
現在の働く女性は、男性以上にバリバリはたらき、草食系男子ならぬ肉食系女子!!という言葉まであります。わたしの職場は8割が女性ですが、みな超エネルギッシュです。肉食系女子というより、肉食恐竜といった感じですが(笑)、そのエネルギッシュな女性であっても、男性には決してできない仕事があります。それが、出産とその後の育児です。(中略)。…現在の女性は晩婚化の影響で、一人の女性が生涯出産する数が減るだけでなく、その出産年齢も高齢化しています。高齢化することで、妊娠できる確率が低くなり、不妊治療をしているひとがとても多くなりました。少し古いデータですが、平成17年度版国民生活白書によると、不妊治療を受けている人は1999年の28万4800人から2003年には46万69000人(推計)と、1.6倍にも増えていますから、2013年現在はさらに多いことが予測されます。10組に1組といわれる不妊症ですが今後も増加してくと思われます。さて、その妊娠や早産のリスク因子として、よく言われるのが喫煙と飲酒ですが、あるデータによると、喫煙や飲酒以上に早産と低体重児出産に関わるものがあります。それが歯周病です。早産は妊娠22週以降37周未満の出産をいい、低体重児出産は2,500g未満の出生児の出産の事をいいます。早産では当然低体重児であることが多いわけですが、この低体重児は出産後に医科的な管理が必要になる場合が多く、成長過程でもさまざまな疾患に対するリスクが高いので注意が必要です。米国のデータですが、1996年にOffenbacherらが妊婦あるいは出産後3日以内の産婦に歯周病の検査を行ったところ、口腔内の60%以上にある基準以上の歯周病が見られた妊婦は、早産あるいは低体重児出産に対する危険率が7.5倍も高かったと報告しています。妊婦が歯周病の場合、早産や低体重児出産をするメカニズムは、正期産以前(妊娠37週未満)に歯周病によるサイトカイン(炎症による、様々なホルモンのような液性物質)の産生が多くなるため、これらが子宮筋を収縮さてしまうからと言われています。チリでは、妊娠9〜21週までの400人の妊婦を対象にした臨床試験が行われ、歯周病治療をしたグループは、そうでないグループに比べ早産・低体重児の発現率が約5分の1に減ったという報告もあります。日本のデータでは、正常妊娠の人と、37週未満に切迫早産の状態にあった妊婦を対象に出産状況を調べたところ、正期産の人に比べ、切迫早産で早産・低体重児を産んだ妊婦の歯周病菌の数は約4.5倍、血清中のサイトカイン量は約14倍多かった、という報告があります。まだ完全なエビデンスとはいえませんが、ただでさえ妊娠困難や早産が多くなる高齢出産において、歯周病も同様に年齢と共に悪くなる傾向がありますから、歯周病の予防と治療が妊娠を望む女性にとって大切であることは間違えありません。