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歯周病菌に対する、プロバイオティクスセラピーでの殺菌治療 [2015年09月10日]

歯周病原細菌のプロバイオティクスセラピーによる減少
誠敬会クリニックは、歯周病専門医による高度な歯周治療をおこなっています。当クリニックの吉野敏明は、日本歯周病学会の専門医・指導医・評議員であり、厚生労働省が主管するマインズ(治療のガイドライン)に収載されている、抗菌療法のガイドラインを吉野は著編したうちの数少ない臨床家の一人です。

抗菌療法の欠点は、妊産婦や授乳中には使いにくいこと、また薬の副作用により善玉菌まで減少してしまうこと、また全身疾患のある患者で免疫力の低下している方(がんで放射線治療や抗がん剤治療後の患者など)は、この善玉菌が減少することによる免疫力への影響などが懸念されていました。

一方、プロバイオティクスセラピーでは、善玉菌の補充を行うことで、口腔内フローラ(口腔細菌叢)を改善する治療です。

我々は、歯周病専門医の集団として、この春の第58回日本歯周病学会に我々の研究を発表しました。結論から言えば、歯周病の悪玉菌である、Porphyromonas gingivalis, Tannerella forsythia, Treponema denticolaを統計学的に有意に減少させるのみならず、最も重要なことは総菌数を減少させなかったこと、つまり善玉菌が増殖できたということです。

今後も、我々は「生体に優しい細菌治療」の研修と実践を行っていきます。

Red complexとは? 連載(1) [2014年03月03日]

 皆さんこんにちは。医療法人社団誠敬会の理事長の吉野敏明です。

今回は、歯周病の悪玉菌である、Red complexについて説明します。

先ずその前に、歯周病の感染について説明します。歯周病は感染症なのですが、

インフルエンザやノロウィルス、また性感染症などの感染症と大きくことなります。

そもそも、これらの細菌やウィルスは健康な人間の体内にはいませんので、

いわゆる“感染”がおきてこれら細菌やウィルスが体内に入って健康を害します。

このような感染を“外因性感染”といいます。

 ところが、歯周病はそもそも口のなかに細菌がたくさん住んでいます。

これは、口だけでなく、小腸や大腸にも腸内細菌がすんでいます。

このような細菌を常在菌といいます。

口の中だけでも、700種類以上の細菌が住んでいるといわれています。

このなかには、善玉菌もいれば、悪玉菌もいれば、なにもしていない細菌もいます。

このようないろいろな細菌の組みあわせを細菌叢といいいます。

なにかの原因でこの細菌叢が変化し、

悪玉菌が増えたりあるいは細菌数そのものが増えて結果として悪玉菌が増えることで感染が起こることがあります。

これを内因性感染といいいます。内因性感染の例としては、風邪をひいて抵抗力が下がったときに腸内細菌叢が変わって

下痢をしたり、ヘルペスウィルスのように、通常は神経節に寄生して感染しているのですが、

おなじく抵抗力が落ちるとウィルスが増えて口内炎のようなものが口の中の粘膜におこることが知られています。

通常の歯周病の中の歯肉炎もそうです。歯磨きが悪いと細菌が増え、歯肉に炎症が起きるのです。


 では、歯周病の中で骨が溶けてしまう歯周炎はどの様な感染症なのでしょう?

外因性感染?それとも、内因性感染? (つづく)